ロジカルアートスクール 美術の歴史 資料

本を読む方法

  1. 読む価値のある「本」を見つける
  2. 読む価値のある「箇所」を見つける
  3. 同じテーマの本をまとめて「10冊」読み切る

インテリが世界中の全ての本を読んでいるということは、当然だが、あり得ない。そこまで読んでいる冊数は普通の人と変わらないと思う。違いは、読む価値のある本を読んでいるかどうかだ。読む価値のある本を見つけるだけで、読書の大半は終了である。ここが読書のメインの作業である。しかし、実は読む価値のある本を見つけるためには、読書経験がそれなりに必要である。

次に、一冊の本の「全て」を読んでいるわけではない。なんなら、読んでもいない本の内容に言及することすらある。これは[読んでいない本について堂々と語る方法] http://www.amazon.co.jp/dp/4480837167等を読んでいただきたい。ちなみにこの本を私は読んでもいないが、書かれていることは前もって分かる。話を戻して、本を一冊全てを読むことは、実はどんどんと少なくなる。目次を見て、自分の興味関心の対象のエリアだけを読めば良い。しかしこれも、前提知識がないとできない行為であるが。自分が興味あるエリアをまず読んで、わからなければ遡って読めばいい。とにかく、必要なところを見つけてそこだけ読めばよく、全てを読む必要はない。

上記2つの戦略を実行するには、結局のところ、ある程度の知識が必要となる。ある程度の知識を貯めるには、その領域の入門書を3冊、専門書を3冊、とにかく全部読めばいい。そうすれば基礎的な知識がつく。ちなみに、専門書を10冊くらい読めば、その領域に関して専門家となれると言われている。また、ある領域の専門家になってしまえば、他の領域のこともほとんどわかる。だから、一旦まとめて本を読んでしまえば、その後本を読むのはどんどん簡単になる。

では上記の3つの戦略について、仔細にみていく。

読む価値のある本を見つける

読む価値のある本と、読む価値のない本がある。もちろん普遍的に価値がない本、などというものはない。しかし、読者本人の「目的」によって、読む価値のある本と、そうでもない本がある。例えば、現代美術について研究をしたいとして、何の本を読めばいいのか、3冊あげることができるだろうか。私は美術の専門ではないが、専門領域について読むべき本を上げてくれといわれれば、すぐにあげることができる。ある領域の素人は、つまり読むべき本を知らない人間であるし、読むべき本が明確に自分の中にあるのであれば、その領域についてそれなりに知見を持っている証であるし、そこまでくれば後は、読むだけである。読むという行為は実は、大した問題ではない。問題は、読む価値のある本が何なのかを見つけることにある。

読むべき本は専門家に聞けば良い

では読む価値のある本は、誰が知っているか。専門家に聞けば良い。では専門家は誰か。これを見つけるには、実は審美眼が必要になる。その審美眼を磨くためには、まず、自分の専門領域について専門家になればよい。ある領域において審美眼を磨けば、同じものがそのまま他の領域にも活用ができる。

専門家について、もう少し説明する。例えばアカデミックな領域においては、論文を書いていること、そしてその論文が権威ある学術雑誌に載っていることが、専門家の証である。国内の論文はCinii http://ci.nii.ac.jp/ で検索すれば全てわかる。そしてどの雑誌にのっているかを見れば、大体その人の力がわかる。例えば大学紀要にのっているだけだと、かなり弱い。単なる商業誌に載ってるだけでも弱い。どの媒体に論文が載っていれば信頼に値するのかは、やっているうちにわかる。権威のある媒体は領域によって違う。Ciniiにもクソみたいな論文はたくさん載っている。問題はどこに載っているかだ。

その領域の専門家がだれかわかれば、あとはその人の書いた論文を読むなり、その人が書いた商業書籍を読むなり、その人が推薦している本を読めばいい。大体どこからたどっていっても、読むべき本というのは、収束する。

米アマゾンで見つける

しかし、日本の研究レベルは、芸術に関しては低い。おすすめは、アメリカのアマゾン  http://www.amazon.com/ で検索して、レビューが多い本を見つけることだ。非合理的だと思うかもしれないが、この戦略はかなりあたる。何故なら、基本的にアカデミックの世界は全員英語話者なので、英語圏の情報は日本語情報と比べ物にならないくらい精度が高い。アマゾンのレビューも格段に多く、また参考になる。試しに課題図書のゴンブリッジ芸術の物語を日本アマゾンとアメリカアマゾンで検索すると、アメリカアマゾンでは100以上の高レビューが付いている。日本では6つだ。私の経験では、読むべき価値のある本はアメリカアマゾンでかならず好評価が付いている。日本で専門書がベストセラーになることは決してないが、英語圏では普通にある。ピケティの21世紀の資本が世界的ベストセラーになったことも記憶にあたらしい。あれは経済学の専門書で、はっきりいって素人が読める本ではない。しかし、世界にはインテリが一定数いるのである。そういった本は、日本語圏では全く評判にならない。英語圏で見つけるのが早い。ちなみに、日本で誰も読んでいなくて、世界的に評価の高い本を見つけたなら、ラッキーである。まだまだ英語を読める人間は少ない。その本を読みきって紹介してしまえば、名実ともにあなたはその分野の専門家となる。

芋づる式に見つける

優れた論文や書籍には必ず、膨大な参考文献リスト、引用文献リストがある。論文には必ず、先行研究という、自分の同じ領域の過去の研究をあげ網羅的にレビューする項目がある。反対にいえば過去の研究を上げていない論文は基本的にクソだと思ってくれていい。そんな論文は、普通誰も通さない。また、価値のある書籍にも必ず文献リストがある。ちなみに日本の本にはほとんどない。だから読む価値が低いものばかりだ。さて、そのリストをたどれば、読むべき価値のある本は見つかる。だから、一冊、読むべき価値のある本を見つけてしまえば、あとは芋づる式に見つかる。 

だから、ジュンク堂にいって、ひたすら膨大な文献リストが載っている本を見つければいい。それがある本は、基本的に読む価値のある本である。何故か。繰り返しになるが、読むべき価値のある本をすぐにあげられる人物はその領域の専門家である。文献リストとは読むべき価値のある本のリストである。だから、このリストを作れる人間は、その領域の専門家であることと同じである。ただし、体系だったリストに限る。単に、例えば「美術」というワードをアマゾンで検索しただけのリストを提示できても仕方がない。膨大な文献を、その目的によって体系的に分類できる人間は、信用に値する。

一冊素晴らしい本を見つければ、あとは、芋づる式にたどれば良い。

その他、良い本を見つける方法

良い書店で紹介されている新刊本に目を通すのが良い。おすすめは池袋ジュンク堂、神保町東京書店、あとは各種あゆみブックス。同じ書店でも、所在地が異なれば、店員が違うためにコーナーが違う。信頼できるコーナーがある書店を見つけたら、定期的に通って、新刊本に目を通すのが良い。まずは、自分が良いと思う本が、その店にあるか、どこに配置されているか調べてみると良い。

読む価値のある「箇所」を見つける

本のすべてを読む必要はない。必要な箇所だけを読めば良い。では、必要な箇所とはどこか。

目次を見る

当然だが、目次を見れば、どこに何が書いてあるかわかる。もし目次をみても、どこを読めばいいのかわらからないのであれば、2つの可能性が考えられる。

  1. 自分の知識が足りない
  2. そもそも、その本の目次が、破綻している

自分の知識が足りないために目次が理解できない

例えば、課題図書の目次を見て欲しい。時代と都市によって体系的に並んでいる非常に簡潔な目次だが、これを見ても自分が見るべき箇所がわからないとすれば、そもそも美術史に関する知識が不足しているからである。その場合には、すべて読むしかない。多読の項目を参照。

そもそも目次が破綻している

良い本かどうかは、目次を見てもわかる。目次が体系だってない本はクソである。目次はその本の顔である。目次が整っていなければ、中身も整っていない。

例示、エピソード、結論といった構造を把握する

目次をみて読むべき章を読み始めたら、その中でも読むべき箇所を見つける必要がある。文の中には、結論、そのための例示やエピソード、それを通じた考察、といった異なる要素がある。この中から結論にあたいする項目を見つける。つまり、その章でどのような結論を出そうとしているのか。それが見つかれば、そのための例示を見つける。ロジカルアートスクールで行ったロジカル・シンキングと全く同じ構造に本というのはなっている。反対に言えば、そうなっていない本は読む価値が薄い。

例えば課題書をみてみよう。ある一つの結論を支えるために、無数の例が並べられる。例については完全に理解する必要はない。島の名前や半島の名前といった地名、また武将や政治家といった個人名、こういったものは知っていれば知っている方が良いが、直接的には美術史には関係がないので、完全にそれらを把握している必要はない。しかし、結論の箇所は、必ず読み込まなくてはいけない。その結論が理解できなければ遡って読む。本は、頭から後ろに向かって読む必要はない。行き来をしてよい。ピラミッド型になっている。

同じテーマの本を10冊読む

上記2つの戦略を実行するには、結局のところ、ある程度の知識が必要となる。ある程度の知識を貯めるには、その領域の入門書を3冊、専門書を3冊、とにかく全部読めばいい。そうすれば基礎的な知識がつく。ちなみに、専門書を10冊くらい読めば、その領域に関して専門家となれると言われている。また、ある領域の専門家になってしまえば、他の領域のこともほとんどわかる。だから、一旦まとめて本を読んでしまえば、その後本を読むのはどんどん簡単になる。

まず三冊入門書を根性入れて読む

とにかく頭から根性入れて全部読む。この際、わからないことがあっても良い。というか普通わからない。しかし、頭から全部3冊くらい読んだら、流石にわかるようになる。この際に必要になるのは根性である。ひたすら毎日何時間も、何日も読み続ける。これは単に根性の問題である。できればこの作業は時間のある学生のうちにおこなって欲しい。時間がなくては不可能だからだ。

読書のテクニックの前に、基本的にはこの読書をする基礎体力が必要になる。こればかりはコツも技術もない。ひたすら読んでいただくしかない。

しかし、この基礎体力が一度ついてしまえば、どんどん読むのは楽になる。もちろん既に説明したテクニックが読書を支えることにもなるし、知っている知識があれば、読むべき箇所はどんどん減ってくる。

読めば読むほど、読むべき場所は減る

同じ領域の本であれば、どの本にも基本的に同じことが書いてある。ということに気づき始めたらしめたものである。ここは読まなくても知っているな、という箇所が出てくる。さらにいえば、これは他の領域にも拡張される。もし歴史や哲学の知識を持っていれば、それが他の領域にも援用されているため、読む前からわかる。

10冊読めば、専門家になれる、といわれている。

ある領域の専門書を10冊読めば専門家になれると言われている。しかしこれは実感としてもある。はっきりいって専門書を10冊読んでいる人間は、専門家にしかいない。インターネット上で物知り顔をしている人間は、そんなに読んでいない。10冊というのはちょっとした数だが、しかし、それなりの数である。なので、少しがんばって読んで欲しい。興味が有ることであれば、コツさえ掴んでしまえば、あっという間である。そんなに大変なことではないので、絶望しないで欲しい。

今後の展望/洋書を読むしかない

日本語の本を読むことになれたら、洋書を読むことになる。何故なら、日本語の文献にろくなものはないからである。これはあくまで私の経験の範囲でのことだが。特に最先端の情報は日本語では存在しない。翻訳されるのを待っていれば、何年もかかるし、むしろ日本語にならないこともしばしばである。であるから、英語で直接読むしか無い。

そしてできればそれを翻訳して、日本に伝えて欲しいと思う。はっきりいって日本にはアカデミックな情報が入ってこない。それを少しでも変えて欲しいと思う。そして価値がある本の読者が増えれば、翻訳書ももっと流通することになろう。よろしく。

 

 

 


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